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Focus
Focus は、Invitrogen 社 (旧 Life Technologies社)が発行している技術雑誌です。 Focus Vol.25 No.3, 2003 日本語抄録
TOPOツールを使用したリニアテンプレートの作成とin vitro発現 Volume 25.3 page 3 Ashley Coffman, Shiranthi Keppetipola, Harry Yim, and Wieslaw Kudlicki Expressway Linear Expression Systemは、原核細胞抽出物を用いたin vitro蛋白質発現システムで、直鎖状DNAテンプレートを使用する。この新しいシステムはエクソヌクレアーゼ活性が低く、かつRNA転写物のスタビライザーを含んだ改良されたE. coli抽出物を含む。またTOPOツールモジュールが添付され( カタログ番号K9900-50には含まれる)、二回のPCRだけで適した直鎖状テンプレートが作成できる。一回目は、目的配列の先にTOPOアダプター配列を含むプライマーでPCRを行って、TOPO認識配列を両端にもつ目的配列を増幅し、5' 端にT7プロモーター、SD配列、開始コドンをもつ5' エレメントを、3' 端にV5、6x Hisタグ、T7終止コドンをもつ3' エレメントを TOPO反応でつける( 5〜10分の反応)。二回目のPCRは、これをテンプレートにして添付のプライマーで増幅する。プラスミドDNAから直接増幅して作成した直鎖状テンプレート( attRサイトを含む)とTOPOツールを使用したテンプレート( TOPO認識配列を含む)との比較では蛋白質の収量や活性に差はなく、TOPO認識配列の存在はそれらに影響がないことが示された。従来のin vitro転写・翻訳システムでは、直鎖状テンプレートは蛋白質産生量が低かったが、Expressway Linearでは直鎖状テンプレートでも 〜600μg/mlの活性がある蛋白質が得られ、環状テンプレートを用いてExpressway Plusで産生する場合と同等であることが示された。他社の直鎖状テンプレート用システムとの比較でもExpressway Linearは収量も活性もより優れていた。 in vitroで発現された蛋白質のLumio テクノロジーを用いた迅速な検出 Volume 25.3, page 7 Shiranthi Keppetipola, Ashley Coffman, Douglas Kang, Laura Vozza-Brown, James Pfau, George Hanson, Harry Yim, and Wieslaw Kudlicki E. coli抽出物を用いたin vitro蛋白質合成システムのExpressway Plusを改良したシステムに、蛍光試薬を用いて迅速に産生蛋白質を検出するLumioテクノロジーを組み合わせた優れた改良版をここでは紹介している。Lumioテクノロジーは、テトラシステイン配列( Cys - Cys - Xaa - Xaa - Cys - Cys )に特異的に結合して緑色の蛍光を発するFlAsH試薬を使用したもので、Lumio配列を融合させた蛋白質の産生をリアルタイムで検出できる。また、蛋白質サンプルにこのLumio検出試薬を加えることで、電気泳動で目的蛋白質の検出が染色なしでできる。この新しいシステムのE. coli抽出物は、Lumio検出試薬のslyD蛋白質への非特異的結合を避けるために、 slyD変異株由来のS30を用いている。従来のExpressway PlusのS30と比較するためGFP蛋白質を両システムで合成したところ、slyD変異株由来のS30を用いた方が機能的GFPを2倍産生した。CAT, GFPおよびGUS蛋白質を新しいExpressway Plusシステムで産生し、Lumio検出試薬を加えて電気泳動後、Typhoonレーザーゲルスキャナーおよび通常のUVライトボックスで検出し、両方法ともバックグランドの少ない中にテトラシステインタグを持つ目的蛋白質のバンドが鮮明に確認された。精製したAdenylate kinase 1 蛋白質を用いて、5ng以上の蛋白質がLumio試薬で検出できることが示された。また、in vitro蛋白質発現 で、37℃のインキュベーションの前にLumio検出試薬を加えて蛍光光度計でモニターすることにより、リアルタイムで蛋白質産生をモニターでき、実際にネガティブコントロールの2〜3倍の蛍光増加がみられた。 長期間活性を保持するよう安定性を高めたTEVプロテアーゼ Volume 25.3, page 12 Sunil Nayak, Lushen Li, and Jun Lee TEVプロテアーゼは、融合蛋白質からタグを除くのに非常に効率がよく、特異性の高い( 7アミノ酸を認識)プロテアーゼで、広範囲の温度( + 4℃〜30℃ )とpH ( pH 6.0〜pH 8.5 )で活性が高い。しかし、野生型のTEVプロテアーゼはクリプティックな自己蛋白質分解サイトをもつため、活性の落ちた短いTEVを生じる欠点がある。ここでは自己消化が生じない、AcTEVプロテアーゼを紹介している。TEVプロテアーゼは1mM DTTを含むバッファー中, 4℃で1週間経過後には30%が短いTEVとなるが、AcTEVは全く変化がない。一方、4ユニットのTEVおよびAcTEVで活性を比較したところ、いずれも30℃, 1時間で基質の85%以上を切断した。またAcTEVもTEVと同様な広い温度範囲, pH範囲で高い活性がみられることが示され、 AcTEVの安定性の向上は酵素活性に何ら影響がないことが確認された。AcTEVは、安定で特異性の高い、タグを除去するプロテアーゼとして推奨する。 PCRでの特異的増幅とフレキシビリティーを強化したAccuPrime Taq DNA Polymerase High Fidelity Vol.25.3, page 15 Erick B. Hu, Weidong Zheng, Angela Stassinopoulos, and Jun E. Lee AccuPrime Taq DNA Polymerase High Fidelityは特異性と収量をさらに向上させた次世代PCR用酵素である。従来のPlatinum Taq High Fidelityと新しいAccuPrime Taq DNA Polymerase High Fidelityを用いて、220プライマーセットで約1〜4kbの増幅を比較したところ、75%の反応でAccuPrime Taq DNA Polymerase High Fidelityによる収量、感度、特異性の向上が見られた。cDNA及びゲノミックDNAテンプレートにそれぞれ対応するバッファー(この酵素には2種のPCRバッファーが添付される)を用いた場合、cDNAでは約0.5〜6kb、ゲノムでは約0.8〜15kbで良好な増幅が見られた。さらに他社の校正活性 の高いポリメラーゼと比較した結果、ゲノムでは約2〜15 kbの増幅において、他社のポリメラーゼよりも特異性と収量が良好な増幅が見られた。 AccuPrime Pfx SuperMix:強力なハイ-フィデリティー PCRプラットフォーム Volume 25.3, page 18 Melissa Langdon, Kyusung Park, and Jun Lee 既存のAccuPrime Pfx DNA Polymerase は校正活性の高いPlatinum Pfxポリメラーゼと特異性を高める耐熱性AccuPrimeタンパク質を混合したものであるが、今回紹介するAccuPrime Pfx SuperMixはプライマーとテンプレートを加えるだけなので、ピペッティング操作時のエラーやコンタミネーションを最小限にできる。このSuperMixの性能検証のため、Platinum Pfx DNA Polymerase、AccuPrime Pfx DNA Polymerase、及びAccuPrime Pfx SuperMixの3種を用いて、K562細胞のゲノミックテンプレートの728〜3123bpの増幅を比較した結果、90%のケースでSuperMixが同等かそれ以上の増幅を示した。さらにAccuPrime Pfx SuperMixを用いてcDNA、プラスミド DNA、λDNAをテンプレートとして532bp〜14.1kbの増幅を試みた結果、いずれもAccuPrime Pfx SuperMixは良好な増幅を示し、 本酵素の融通性の高さが示された。また、凍結融解繰り返しの影響について検討したところ、緩やかなPCR産物収量の低下が見られたものの、15回までの凍結融解繰り返しでも酵素活性の有意な低下は見られなかった。このSuperMixと他社3種の校正活性の高いポリメラーゼを用いて、773〜6215bpの増幅を比較したところ、SuperMixでは他社酵素より優れた高い特異性と収量が見られた。 RT-PCRのためのSuperScript III First-Strand Synthesis System Volume 25.3, page 22 Henrietta Nymark-McMahon, Ginger Lucero, and Jun Lee 新世代の逆転写酵素であるSuperScript IIIは、従来のSuperScript IIよりも熱安定性が増し、50℃での半減期は220分と長く、55℃でのcDNA合成も可能である。高温での逆転写反応は、RNAの二次構造の解消を促して、逆転写反応途中での伸長停止を抑えるので、特異性が高く、高収量が得られ、より多くの全長遺伝子を含むcDNAの合成が期待できる。SuperScript IIIとSuperScript IIの45℃および50℃における逆転写反応(oligo(dT)20使用)を4種類のターゲットでRT-PCRにより比較したところ、45℃では差は認められなかったが、50℃では4種類の遺伝子ともSuperScript IIIの方がRT-PCR産物の収量が高かった。またSuperScript IIIでは42℃〜55℃の温度条件で1.6kb〜12.3kbのRT-PCR産物が得られた。遺伝子特異的プライマーを用いて3種類の遺伝子(1.6kb〜8.9kb)の逆転写反応を行った結果、 42℃から55℃へと上がるにつれてAPC(8.9kb)のRT-PCR産物量の増加が見られた。50〜100コピー程度しか存在しない1pgのtotal RNAからもβ-actinおよびGAPDH遺伝子の再現性のあるRT-PCR産物が得られた。他社のRT-PCRシステムとの比較を1,093bp〜9.4kbの4種類の遺伝子により行った結果、他社のシステムではほとんど検出できなかった4.6kb、6.8kbおよび9.4kbのRT-PCR産物をSuperScript III First-Strand Systemではすべて高収量で得ることができた。 SuperScript III One Step RT-PCR System with Platinum Taq DNA Polymeraseを用いた高感度なワンステップ、ワンチューブ RT-PCR Volume 25.3, page 26 Henrietta Nymark-McMahon, Isabel Cisneros, and Jun Lee 熱安定性が増して55℃〜60℃で逆転写反応を行うことのできるSuperScript IIIと、自動ホットスタートが行えるPlatinum Taq DNA Polymeraseを組み合わせたこの新システムは、高感度で、信頼性の高いワンステップ、ワンチューブのRT-PCRシステムである。0.01pg〜1pgのHeLa total RNAを鋳型としてRT-PCRを行った結果、β-actin遺伝子は0.1pgから、GAPDH遺伝子は0.01pgから検出可能であった。45℃〜60℃の逆転写反応温度で5種類の遺伝子のRT-PCRを行った結果、短いターゲット(GNE 1,492bpとBACH 2kb)は45℃〜60℃の温度域で同等の増幅産物が認められが、ターゲットが長くなると、逆転写反応温度が上がるに従って、RT-PCRの感度と特異性、もしくは特異性のみの増加が認められた。ターゲットサイズ域をみるため406bp〜4,497bp の9種類の遺伝子のRT-PCR(RT反応は55℃)を行った結果、9種類すべての増幅産物を得ることができた。5組のプライマーセットを用いて、10ngもしくは100ngのHeLa total RNAを鋳型としてmultiplex RT-PCRを行った結果、10ngもしくは100ngのHeLa total RNAを鋳型としてmultiplex RT-PCRを行った結果、150bp〜1,181bpの異なる5種類の遺伝子の増幅が認められた。SuperScript III One-Step RT-PCR Systemは従来のOne-Step RT-PCR Systemと比較して、感度が約10倍高く、約1kb長い4.5kbまでのRT-PCR産物を得ることができる。 GeneRacer RACE ready cDNA を用いたAPC (adenomaotosis polyposis coli) 遺伝子の異なる転写開始点およびポリA付加部位の同定 Volume 25.3, page 30 Larissa Karnaoukhova and Maryann Taylor GeneRacer Ready cDNAは、各々のcDNAにおける両末端の配列を決定するのに非常に有効な手段であるが、ここではAPC遺伝子の転写開始点およびポリA付加部位の同定を試みた。まず各組織・細胞(HeLa 細胞、胸部、子宮、肝臓、皮膚、胃)からTRIzolでトータルRNAを抽出し、FastTrack 2.0 でmRNAを精製した。得られたmRNAを用い、ポリA配列およびキャップ構造を持ったmRNAを特異的に転写してGeneRacer Ready cDNAを作製した。作製されたGeneRacer Ready cDNAをテンプレートにして、5'RACE PCR および3' RACE PCR を行い、得られたPCR産物をpCR 4-TOPOまたはpCR -XL-TOPOにクローニングした。各々8個のコロニーから、ミニプレップでプラスミドを調製し、インサートの配列を調べた。得られた配列はBLAST検索を行い、GenBankに登録されている配列との比較を行った。 またそれぞれの組織におけるAPC遺伝子の転写開始点およびポリA付加部位の同定を行った。その結果、3' RACE PCR では作製した6種類の組織いずれにも2種類のPCR産物(約600 bpと約780 bp)が得られた。胸部のGeneRacer Ready cDNA から得られたPCR産物の配列を解析したところ、GenBankに登録されているAPC遺伝子のmRNAの配列よりそれぞれ123 塩基および301塩基伸びたところにポリA付加シグナル配列があり、その両方に複数のポリA切断部位があることがわかった。一方5'RACE PCR の解析では、6つの組織・細胞ともすでに報告されているA型、B1型、B2型、B3型の4つのAPC遺伝子転写産物があることがわかった。さらに、それぞれの型に複数の転写開始点があることがわかった。 ゲル電気泳動によるタンパク質の分子量推定方法の再考 Volume 25.3, page 35 Mehrnoosh Sadeghi, Mahbod Hajivandi, Roumen Bogoev, and Joseph Amshey SDS-PAGE法での分子量推定は次のような仮定に基づいている。
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